大腸がんの症状

大腸がんの症状

進行が遅く症状が出ない早期大腸がんを除き、進行した大腸がんはさまざまな程度の臨床症状を呈することがよくあります。このとき、注意深く、病歴を詳しく聞き、入念な身体検査を行い、臨床検査、内視鏡検査、レントゲン検査を補足すれば、正しい診断を下すことは難しくありません。

1. 病歴

詳細な病歴を調べることで、大腸がんの診断が明らかになる場合がよくあります。中年以上の人で、原因不明の体重減少、貧血、排便習慣の変化、便に粘液が混じる、便に血が混じる、腸閉塞などの症状がある場合は、大腸がんの可能性を考慮する必要があります。大腸がんを早期に発見するためには、明らかな症状はないが、大腸がんの家族歴がある人、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性住血吸虫症を患ったことがある人、骨盤放射線治療や胆嚢摘出術を受けたことがある人など、大腸がんのリスク要因がある人は、定期的に経過観察と再検査を受ける必要があります。

2. 身体検査

総合的な身体検査は、大腸がんの正確な診断に役立つだけでなく、病気の重症度、がんの浸潤および転移を推定し、合理的な治療計画を立てるための参考になります。局所症状としては、腸閉塞、腹部腫瘤、腹部圧痛に特に注意する必要があります。大腸がんのほとんどは直腸とS状結腸に発生するため、直腸指診は不可欠です。患者に血便、排便習慣の変化、便の変形などの症状がある場合は、必ず直腸指診を行う必要があります。検査では、肛門や直腸が狭くなっているかどうか、指の袖口に血が混じっているかどうか、しこりを触知した場合はその位置、形状、病変の範囲、基部の活動性、隣接臓器との関係などを確認します。

大腸がんの診断と集団スクリーニングの評価

前述の通り、大腸がんの発生率は年々増加しており、死亡率も高く、5年生存率はデュークスステージと密接な関係があります。大腸がんの原因は不明であるため、生存率の向上には二次予防、すなわち大腸がんの早期診断が重要です。早期診断には2つの意味があります。1つは早期発見、もう1つは早期確認です。現在では、ファイバー大腸内視鏡検査の普及により、内視鏡による病理組織採取や生検が非常に簡便になったため、前癌病変や早期癌の診断はそれほど難しくありません。しかし、大腸がんの早期発見には未だ多くの障害が存在します。主な理由は、大腸がんの初期症状は隠れていることが多く、治療のために病院に来る患者はがんの末期段階にあることが多いためです。さらに、早期癌を診断するための特別な臨床検査法がまだ不足しているのが現状です。

無症状の人々を対象に調査を実施したり、大腸がんの家族歴がある患者や前がん病変が確認された患者をモニタリングしたりすることは、がんを早期に発見するための重要な方法です。がんの診断はファイバー大腸内視鏡検査と病理学的生検に依存することが多いため、どのような形式のスクリーニングでも作業量、経済的コスト、社会的寛容性を考慮する必要があります。初期スクリーニング検査を実施して高リスク集団を絞り込むことで、ファイバー大腸内視鏡検査の適用における欠点を補うことができます。スクリーニング効率だけを考えても、初回スクリーニング検査によりファイバー大腸内視鏡検査の検出効果を高めることができます。例えば、1万人以上の国勢調査で、単純S状結腸鏡検査と免疫潜血検査と大腸内視鏡検査の連続スクリーニングの結果を比較したところ、最初のスクリーニング検査の後、S状結腸鏡検査ががんの検出で優位に立つことがわかりました。

大腸がんの一次スクリーニング検査として、この方法は感度と特異性が高いだけでなく、シンプルで使いやすく、経済的で実用的でなければなりません。これまで、大腸がんの実験的診断には多くの方法が試みられてきましたが、そのほとんどは上記の要件を満たすことが困難でした。なぜなら、ほとんどの診断指標は大腸がん患者と対照患者の間で平均値に差があるだけで、特異性がなく、がんの診断閾値を確立することが難しく、早期がんに対して鈍感な場合が多いからです。世界の大腸がん検診データによると、現在、大腸がん検診に主に使用されている検査は、便潜血検査と近年開発された直腸粘液T抗原検査です。さらに、小規模な集団調査では、血液や糞便中の大腸がん関連抗原を検出するモノクローナル抗体の使用が試みられています。

便潜血検査にはさまざまな方法があります。化学潜血検査は簡単ですが、多くの要因の影響を受けやすく、偽陽性(肉、新鮮な果物、野菜、鉄分サプリメント、アスピリンなどの摂取)や偽陰性(便の長期滞留、腸腔内でのヘモグロビンの分解、ビタミンCなどの抗酸化物質の摂取など)が発生する可能性があります。免疫測定法は、化学潜血検査に続く第2世代の大腸がんスクリーニング検査です。その優れた利点は、特異性が高く、食物や薬物による干渉がないことです。初期の研究では寒天免疫拡散法が使用されていましたが、私たちの応用では、この方法は特異性は高いものの、癌検出の感度は化学的方法よりも優れていないことがわかりました。次に、逆間接赤血球凝集反応試験、免疫ラテックス試験、SPA共凝集反応試験を比較しました。原理は、ヒトヘモグロビン抗体をキャリアにコーティングすることです。結果は、SPA 免疫潜血検査により潜血検出の感度と特異性が大幅に向上できることを示しました。 8,233件の調査で、陽性患者は934人、そのうち大腸がんは4件、そのうち早期がんは3件でした。 SPA テストでは、キャリアとして A タンパク質を含むブドウ球菌が使用されることに留意してください。抗体の標識には精製や複雑な処理は必要ありません。手術中は、現場で糞便液を一滴採取し、SPA 試薬と混合するだけで済みます。 1~3分以内に安定した結果が出るので、国勢調査に最適です。

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